はじめに
昔々使っていたMIDI打ち込み用キーボードを引っ張り出してきてiPadの無料アプリを音源にして喜んで遊んでいたのですが、iPadやUSB-MIDI変換器に加えて外部スピーカーの配線がそれなりに面倒であまり使わなくなっていました。何かキーボードを使いやすくする方法はないかと思っていたところ、小さなハードウェアMIDI音源「MIDI野郎」を見つけました。
MIDI野郎 について
「MIDI野郎」は電子工作向けのGM音源127種類の音を鳴らすことができるMIDI音源モジュールです。
大きさは44×30mmで何か機器の中に組み込んで使うには十分に小さく設計されています。
心臓部のGM音源ICは中国製dream社のSAM2695を採用しています。そのICはどんな物かとデータシートを読んでみると、ALL IN ONE ICと記載がある通りにスピーカー駆動用のアンプICも外付けが不要で、まさにMIDI信号を入力するだけでAUDIO OUTの音声出力までしてくれる非常に使い勝手の良いICです。
その他にMIDI音源ICを製造しているメーカーがあるかどうかを調べてみましたが、近年はハードウェア音源はあまり使われない傾向なのか、他のメーカー製のICは見つけることはできませんでした。
キーボードの内部に「MIDI野郎」を入れることかできるのか?
使い勝手の良い音源モジュールを見つけたので早速キーボードを解体して内蔵できるかチェックしました。
後ほど内部構造の写真を掲載していますが、キーボードの鍵盤の上部には電源回路と鍵盤からの信号受信回路が実装された基板が配置されていて、その右側には10cm×5cm程度の空きスペースがあるので、「MIDI野郎」を内蔵することは十分可能である事がわかりました。
音の出力はどうするのか?
さて、音源モジュールを内蔵可能な事は確認できたのですが、音を出力するために、モジュールのオーディオジャックから外部スピーカーにケーブルで接続する事もそれなりに面倒です。そこで、キーボードの両端部分にもスペースがあるので、そこにスピーカーも内蔵出来ないか考えてみたところ100円Shopで購入したほぼ未使用の300円ミニスピーカーがある事を思い出しました。
それを分解して内部のスピーカーユニットを確認すると、キーボードに内蔵するためにはスピーカーユニットの周辺部分を少し切り取って小さくすればぎりぎり入りそうでした。
音源とスピーカーを内蔵することでキーボードにはMIDIケーブルやスピーカー、それにタブレットも接続する必要はなくなり、電源ONですぐ使えるキーボードになるという算段です。
音源モジュールへの電源供給方法
「MIDI野郎」の動作電源電圧は5V動作となります。ACアダプターからキーボード本体への供給電圧はDC9〜12Vでそのままの電圧を「MIDI野郎」に印加する事は出来きません。
基本的にICを搭載する電子回路では5V以下で動作することが通常であり、高電圧から低電圧に変換する降圧回路がこのキーボードにも実装されているはずと考えました。
そこでキーボードの内部基板に配線されている電源回路の配線を追っていくと、やはり3端子レギュレータが実装されていて、その出力電圧は本当に具合良く5Vでした。
改造したキーボードの内部構成
ここまでわかれば、後は「野郎」を動かすには電源とMIDI信号線、AUDIO-OUT信号をワイヤーで接続するだけです。
さらに付加機能として300円スピーカーに付属していた音量調節用のボリューム回路もキーボードに内蔵してみました。
それでは改造した内部写真を公開します。中央付近の鮮やかに赤い基板が「MIDI野郎」です。ここまで内蔵するとさすがに内部は一杯になりました。
おわりに
非常に使いやすい全部入りICを搭載した音源モジュールのおかげで、お手軽改造の工作を行えば、旧式の音源無しのキーボードが素晴らしく使いやすい「キーボード野郎」に変身しました。
「MIDI野郎」は小型ですのでArduinoやM5STACKと組合せて遊ぶのにも良いやろうと思っています。
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