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DSPラジオ製作入門に最適なKT0936M(B9)を動かしてみる

電子工作

はじめに

今回はKT0913と同じメーカーであるKTmicro社製のKT0936M(B9)でラジオを製作してみました。

KT0913ではレジスタ設定無しではAM/FMのバンド切替や受信チャンネルの選局が出来ませんのでマイコンが必要ですが、KT0936は少々制限が付きますがマイコンの接続無しのIC単体で動作させることができるためとても小さく、そして安価にラジオを作る事ができそうです。制限がある言っても日本国内で使用しているAM/FMの周波数帯域を受信して使用するのであれば特に問題はありません。

とにかく電子工作としてDSPラジオの製作を楽しみたい人には結構おススメのICです。

回路図

KT0936のデーターシートに記載されている参考回路図を確認しながら、前回作成したKT0913の回路図を改造して作成しました。さくっと変更して作成したので見辛いですがご容赦下さい。

今回、図面確認が甘かったため、8番ピンと9番ピンの配線を間違えて基板を製造してしまいました。上記の配線図は修正後の図面ですが、回路図が出来上がったら慌てずによく確認しましょう。

FMアンテナはイヤホンアンテナとしています。
AMはバーアンテナを取りつけます。私は回路図に部品名を記載している通りPA-63Rをピンヘッダを使用して取り付けました。

なお、M5STACK と接続するためのコネクタ(J2, J3)を配置していますが、IC単体使用であれば不要です。また、11番ピンのAM_FMと7番ピンのRF_SWは未接続で問題ありません。

AM/FMの切替

10番ピンに接続する抵抗器R7(10番ピンに加わる電圧)で決定します。仕様書にはバンドと抵抗値の関係表が記載されていますが、AMとFMだけであれば下記を何れかの使用で十分です。

バンド抵抗値 Ω (1%)周波数下限周波数上限周波数ステップ
FM163.487MHz108.5MHz50kHz
FM223775.5MHz108.5MHz100kHz
FM341263.5MHz108.5MHz100kHz
MW21k513kHz1719kHz1kHz
バンドと抵抗値の関係

AM用にするにはMW2の周波数レンジを選択するために1kΩを接続します。
FM用にするにはFM3の周波数レンジを選び412Ωで良いと思います。
430Ωと10kΩの並列接続でちょうど412Ωが作れます。なお、仕様書上では精度1%の抵抗を使用することを推奨していますが、実際に1%が必要かどうかは今回の試作基板では確認していません。

基板に実装しているR7の抵抗値を取り換えることでAMまたはFMのいずれか一方のバンドを使用することができますが、AMとFMの両方を使用したい場合は、FMとAMを切り替えて選択ができるように、切り替え用のスライドスイッチやトグルスイッチを実装する必要があります。

AM放送もサイマル放送が始まっていますので、普段使いにはFM放送受信のみのラジオでも良いかもしれません。

周波数選局

選局は9番ピンに接続された可変抵抗器(ボリューム)で抵抗値(10番ピンに加わる電圧)を変化させて選局することができます。

同時に作成したKT0913の回路部品を転用したので2連ボリュームを使用していますが、1回路のボリュームで問題ありません。

音量調整

マイコンを接続してレジスタ設定をすることで音量は変化させることができますが、このIC単体では音量調整をすることができません。ですので音量調節をするためには、回路図のR1やR3の抵抗値を変更する必要があります。より実用的なラジオにするにはR1を可変抵抗器に変更するほうがベターです。

基板の写真

動作させた基板の実態写真はこれです。M5STACK用に作成したKT0913版からの改造なので似たようなレイアウトになっています。

このICはピンピッチが1.27㎜なので手半田付けも比較的やり易いです。

おわりに

8番ピンがチューニングインジケータ用の出力端子になっていますのでLEDを接続すると、チューニングがとれた際に点灯します。受信周波数は分かりませんが目視確認も可能となっています。まあ、ラジオなので聴いていればチューニング状態はわかりますのでオマケ的な機能でしょうか…。

回路規模も小さいですし実用的に使えるものが比較的簡単に出来上がりますので、このICを使用して自作基板の設計や部品実装に初挑戦しても良いと思います。あるいは、少しハードルを下げて、電子部品販売店では、このICが使われているラジオ製作キットも多数発売されていますので、それを購入して半田付けの練習も兼ねて組み立てることから始めても楽しいかもしれませんね。

ご参考までに、基板のみをBOOTHで頒布していますのでご興味のある方はどうぞ。

使いやすくした小型のモジュールも作成しましたので、よろしければこちらの記事もどうぞ。

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