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6桁7セグメントLEDモジュールをPCBWayでPCBAまで製作してみました

ARDUINO

はじめに

前回に引き続きまして、今回ご紹介する電子工作も7セグメントLED関連の記事になりますが、(年・月・日)の日付や(時・分・秒)の時間表示用として便利に使える6桁表示の7セグメントLEDモジュールを作成してみました。数字表示がメインであれば、表示デバイスの中では安価で視認性が良い7セグメントLEDは、専用のドライバーICと組み合わせて設計することで取り扱いやすい表示モジュールを製作することが出来ます。今回はPCBWayさんのご協力により、基板単品だけでなく、部品組品[PCBA(printed circuit board assembly)]まで仕上げて頂きました。

PCBA製造依頼に必要なデータ

PCBWayさんに限らず部品実装までの工程を業者さんに依頼するためには3種類のデータが必要です。
準備すべきデータは、

1.基板製造用のガーバーデータ
2.基板に実装される部品を一覧表にしたBOMリスト
3.部品を基板のどの位置に実装するのかを指示する部品配置図

の3点セットです。以下に3点セットを順番にご説明します。

なお、Web上での基板発注方法については以前にご紹介させて頂いたこちらの記事をご参考にお願いします。

ガーバーデータ

基板製造に必要な配線や塗りつぶしの描画データです。ガーバーデータのフォーマットとしてRS-274X(拡張ガーバー)とRS-274D(標準ガーバー)などがあります。基板製造業者によっては指定のフォーマットデータが決まっている場合もありますので、データ送付前には一度確認しておいた方が良いでしょう。ここではガーバーデータの構造については記載しませんので詳しく知りたい方はネット検索をお願いします。

ガーバーデーターそのものは文字・数字で構成されたデータですので視覚的に確認するにはガーバービューワーを使用します。

基板設計CADにはガーバービューワーが付属しているものが多いと思いますが、PCBWayのサイトでもオンラインガーバービューワーを提供していますので、製造依頼する前に問題箇所が無いか最終確認することができます。今回製造した基板のガーバーデータをウェブサイトに読み込ませた場合は下図のような基板の出来上がりをイメージで確認することができました。

なお、今回の基板は両面基板なので、表面と裏面つながりを確認したい場合は、”Layers”を選択したのち、画面左側のメニューでソルダーマスクやシルクスクリーンを非表示にするなどの設定をすることで、配線を見やすくすることができます。

ガーバーデーターの作成に当たっては、表面、裏面、内層のパターンやレジスト、ドリルデータなどを個別に作成する必要が有りますが、KiCAD7.0を基板設計ツールとして使用しているのであれば、プラグインを使うことで、ガーバーデータの作成からBOMリスト、部品配置図の作成に加えて、WEB発注までがワンクリックで行うことができます。手順はこちらが参考になりそうです。私はこのプラグインはまだ使用したことないですが、上記3点セットのデータが1クリックで出力できるようなのでとても便利で良いですね。次回のPCBAの試作時には試してみようと思います。

BOMリスト

基板に実装するすべての部品について、部品番号とメーカと部品名称を対にして記載する一覧表になります。今回の試作では、次のようなものを準備しました。

BOMリスト

BOMリストの作成は、部品の種類が少ない場合は比較的簡単に作成できるのですが、部品の種類が多くなると使用する部品を決定することが少々面倒になります。とくにコンデンサや抵抗などの汎用的な部品は部品特性が多岐にわたるので品番を決定することには根気が必要です。汎用部品については、製造業者を一社に決め打ちする必要がなければ、部品サイズや定数と精度、特性を設定すれば、PCBA業者さんにお任せできるシステムがあれば利便性がよくなるのかなと思います。

部品配置図

図面上のある原点(基準点)から各部品のXY座標と配置角度を指示した図面となります。作成自体はCADにて自動でファイル出力できますので手間はかかりません。ここで重要な点は、座標原点をどこに決めればよいかとなります。考え方は色々ありますが、一般的には、図面上の基板左下の角(すみ)を原点とすれば問題はないですが、基準が明確に定められているか否かは確認した方がよいでしょう。特に部品の角度については、CADの設計データによる角度と、PCBA業者が設定している角度で基準が異なる場合があり注意が必要です。ただし、仮にずれていたとしても、業者さんのほうで正しい位置に部品が実装されるように座標データを調整し確認の連絡が入ってくると思います。

部品配置図

これら3種類のデータが準備できれば基板製造と部品実装の依頼が行えます。業者へデータを提出し、配線クリアランスなどの製造上のスペックに対して不備が無いかを確認してもらうことになります。一般的には、何か不明点があれば、業者さんのほうから連絡が入ることになります。レジストやシルクスクリーンのデータは製造上で問題がなければ、文字の綴りを間違えていたり、描きたい箇所を間違えていてもそのままデータ通りに製造されますので、ガーバーデータ出図の際はよく確認して下さい。もしデータの間違いに気がついた場合は、製造段階に入る前であればデータの差し替えが可能な場合もありますので業者さんに早急にご相談下さい。

納品までの日数

データ出図から納品までの日数は次の通りです。

PCBWayでのSMT工程進捗

9月1日(日)の21時頃にデータを出図したため、稼働日の翌日よりデータの確認作業を開始、3日より製造工程に投入、生基板は4日の21時前には完成となっていますので、基板製造自体は1日半で終わっています。
一方で、SMTの工程を見ると、5日には部品実装用のデータの準備を開始し、9日に部品収集が完了、当日の夕方には実装作業も完了しています。
翌日の10日に出荷手配がされていますが、その5日後にようやく出荷されて、私の手元には18日の午後に到着しました。つまり、PCBWayさんでのガーバーデータ確認作業開始から16日間でPCBAが手元に届いたことになります。
PCBWayさんでは製造工程の進み具合が上記の通り確認できるため見ていたのですが、基板の製造は2日程度で部品収集後とSMTに4日間ほど要していますが、それほど遅い訳でもなく、データ出図から約10日で製造は完了しています。ただし、他の日本向けの注文分とまとめて出荷されるためなのでしょうか、理由はよくわかりませんが、今回は出荷待ちの日数が5日間と多くなっていました。

出来上がってきた基板の状態確認

今回、基板5枚の製造と、4枚分の部品実装(SMT)を依頼しました。部品未実装の生基板1枚の出来上がりを確認して見ましたが何の問題もなく上質な仕上がりでした。

PCBAも実装点数こそ少ない基板ですが、外観ではハンダ濡れ性も良く、フラックス洗浄まで実施されているようで基板も全体的に綺麗に仕上がっており、非の打ちどころはありません。

なお、基板の納品形態は、一枚一枚丁寧に静電防止袋に入れられており素晴らしかったです。毎回なのかどうかはわかりませんが、このような点でも信頼感のおける業者だなと感じました。

挿入部品の手半田実装

さて、PCBWayさんでは依頼した通りにSMDのみを実装しているので、残りは、挿入部品の実装をすれば完成です。なお、挿入部品についてもPCBWayさんに依頼すれば実装してもらえますが、リフロー装置で実装できるSMT部品のみに比べると価格は少々お高くなりますので、依頼するか、自身で手半田付けなどで作業するのかは、製造台数や金額面でケースバイケースでしょう。

挿入部品の7セグメントLEDを半田付けしたあとの完成形はこの様になります。

製品の到着までにCADで図面を眺めていたところ、当初、4桁仕様で設計していたところを6桁仕様に変更した際に、CAD上で配線できていない部分がある事が発覚しましたので、ジャンパーワイヤーで2本配線しています。CADでのデザインチェックは実行していたのですが、どうもエラーメッセージを見落としていたようです。やはり出図前は紙に印刷して突き合わせるぐらい入念に回路図とアートワーク(パターン)図面に間違いがないか入念な確認が必要ですね…。

回路図作画の注意点

基板製造業者への基板製造依頼の前には、回路図と基板図に問題が無いかよく確認しましょう。先ほど述べた通り、今回は見事に確認漏れをしていました。当初4桁7セグメントの仕様で設計していたのですが、6桁に変更した際に追加した2桁分の7セグメントLEDのグリッド端子とIC間の配線が漏れていました。原因は回路図でバス配線を使用していたのですが、追加した2本のネット名の設定を忘れていたようで回路図上ではつながっているように見えますが、どこにもつながっていない端子となっていました。


基板図面を作成していた時に、なんとなく配線が楽だな?とは感じていたのですが、完全に見落としていました。設計途中で仕様変更をした部分は特に気をつけるべきでした

回路図

動作確認とサンプルスケッチ

TM1637はかなり広く使われているLEDドライバーICのようで、例えばSeeed社のGroveモジュールとして4-Digit Displayという製品でも使用実績があります。

Arduinoライブラリでサンプルスケッチ(プログラム)が用意されています。そちらを利用してサクッと動作確認をしました。特に問題点はなくバッチリ動きました。

参考に改造したサンプルスケッチをご紹介しておきます。

サンプルスケッチの場所
サンプルスケッチの改造箇所

おわりに

部品実装も中国試作基板メーカを使用することで、手実装よりもはるかにきれいな仕上がりで製造できお勧めです。今回の教訓としては、ガーバーデータの出図は慌てず騒がず一晩寝かせるがポイントだということを再確認しました。
製作した6桁7セグメントLEDモジュールを活用してRaspberry PiやESP32、XAIOのマイコンボードを使用したWiFiデジタル時計や温湿度計などの拙作ができましたらご紹介させて頂きます。

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