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秋月電子の紫外線計キットの組み立てとカナヘビ飼育ケース内の紫外線量を測定して判ったこと

電子工作

はじめに

我が家では2022年7月17日から近所で捕獲したカナヘビを飼育しています。22年末からの冬も無事に越して元気に暮らしています。

カナヘビは家の中では比較的暖かいリビングで飼育しているのですが、12月~2月上旬の間のは枯葉や土の中、石の下でじっとしていて地表にほとんど出てこず毎日与えている餌もこの数ヶ月間は全くと言っていいほど食べず心配していましたが2月中旬からよく地表に出てくるようになりました。
近頃ではすっかり暖かくなってきたので、ベランダでの日光浴を再開させています。

さて、カナヘビなどの爬虫類にとっては紫外線が健康上必要なものであり特にUVB波長の紫外線が重要な要素とのことです。調べたところによると紫外線の波長分類と爬虫類にとっての影響は次の通りでした。

 UVA:波長 315~400nm  食欲増進、脱皮の促進効果
 UVB:波長 280~315nm ビタミンD生成、カルシウム代謝効果
 UVC:波長 100~280nm  オゾン層に吸収され通常は地表には到達しない
               UVBの290nm以下は地表上では実質0とみなせるようです。

UVBの波長範囲はUVAやUVCと比較して狭く定義していることに少し不思議な感じがしました。

では、実際のところ紫外線は人間の目には見えないため、日光浴ではどのぐらいの量が照射されているのかなと疑問に思い秋月電子で発売していた紫外線計キットを購入して測定してみました。

なお当ブログの最後にはカナヘビさんの写真を掲載していますので爬虫類が苦手な方はご注意ください。

紫外線計キット

仕様と組み立て

キットに付属のマニュアルはなかなかレトロな青焼きの説明書となっています。秋月電子のキットは初めに±200mV電圧計を組み立てた後に紫外線センサーを電圧入力端子に追加することで紫外線計が完成するキットとなっています。紫外線センサーの出力電流を電圧に変換して計測する方式ですね。

なお、紫外線の測定レンジは切り替え式で次の2通りが可能となっています。

通常測定モード:0~20.00mW/cm2(液晶画面の表示は19.99mW/cm2まで)
微弱測定モード:0~2.000mW/cm2(液晶画面の表示は1.999mW/cm2まで)

具体的な組み立てについては詳細に記述されているマニュアルに従って進めていけば問題はないです。

私はキットには含まれない部品ですが、電源ON/OFF用と測定レンジ切替用に2回路2接点のプッシュ式トグルスイッチを別途用意して写真の通りに組み上げてみました。

ケースはキットに含まれているものを使用していますが、紫外線センサーに直射太陽光がセンサーに照射されるようにケースには開口部を設けました。

紫外線センサーの特性

このキットに採用されている紫外線センサーは浜松ホトニクス製G5842となっており、データシートに記載の特性グラフでは波長260~400nmの強度を測定できますが、UVA、UVBの波長を別々に測定することはできません。

UVBのみを測定できるセンサーとして同社のG5842-01という型番のセンサーがありますが、現在は購入先がわかりませんでした。そのセンサーはG5842にUVAカットフィルターを追加した姉妹品と推測しています。

実測結果

天気の良い日にカナヘビ飼育ケース内に測定器を置いて実測値を確認してみました。

飼育ケースは透明樹脂製なのですが、まず蓋を開けて表示値が最大数値になるように測定機の向きを微調整して測定した結果が次の通りです。

写真では太陽光がケースに反射して読みずらいですが、1.611mW/cm2を表示しています。

次に飼育ケースの蓋をして同様に測定してみると、0.788mW/cm2でした。

考察

蓋なし:1.611mW/cm2、蓋あり:0.788mW/cm2の結果より、樹脂製の蓋をすることでケース内に届く紫外線量は約50%も減衰していることになります。
私は、数ミリの樹脂製の蓋ではほとんど紫外線は減衰しないだろうと安易に思っていたのですが、半減していることに結構驚かされました。
やはり爬虫類飼育では、カナヘビのビタミンD生成、カルシウム代謝を効果的に促進するためにはケースの蓋は外して日光浴をさせたほうが良いということが数値結果を確認する事で良くできました。

おわりに

今回はUVA、UVBの混合測定となるセンサーを使用しましたが、浜松ホトニクス以外のメーカーでUVBのみ測定できるセンサーとしてGUVB-T21GHがあります。記事執筆時点では円安や半導体不足の影響のためか3,500円程度と少々高額部品なため購入して性能を確認する事は見送りましたが、今後、もう少しこなれた価格になった際には使用してみたいデバイスです。
実際に約一年間カナヘビを飼育していて分かったことは、一週間に一度、天気の良い日に1時間ほど日光浴をさせれば全く問題なく元気にしています。冬場も水やエサは飼育箱に置いていますが、大半の期間は石の下や枯れ葉の下に潜り込んでじっとしています。
大切なペットの健康の為ですので高価な紫外線ランプはあるに越したことはないですが、カナヘビさんには特に必要は無かったです。
一方で温度管理は大変重要です。夏場に2日ほど留守にしたときに閉め切った部屋で40℃を越え、かなり危険な状態でした。今も元気にしていますがその時はカナヘビさんには大変辛い思いをさせて申し訳ない気持ちで一杯です。
なお、バッタやコウロギなどの生き餌が確保できない時は、私はこの人工餌を使用していますが、ちゃんと食べてくれるので餌の心配は要りませんでした。ご参考までに。


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